カートをみる マイページへログイン ご利用案内 お問い合せ お客様の声 サイトマップ
RSS
 

トウモロコシの活性炭で米のセシウム吸収を抑制できるか

space

 日経ビジネス2011年9月26日号(日経BP社)に植物を使った土壌浄化技術(ファイトレメディエーション)の記事が載っていました。それによると、ある品種の稲科の植物はカドミウムなどの有害物質をよく吸収し、さらに吸収した後の処理が簡単であること、浄化のコストも客土より安く上がることから、ファイトレメディエーションに適しているというのです。

 この情報を検証すると、すなわち有害金属イオンで汚染された土壌で「稲」を栽培すると、たとえばカドミウムなどの有害物質を「稲」が吸収し、そこに濃縮してしまうということになります。もちろん品種等の違いで吸収度合いは変わってくるはずですが、高い吸着能を持っていることは間違いないようです。
 これは現在問題になっている放射性セシウムの場合でも同様で、稲はセシウムで汚染されやすい植物であるということになります。つまり普段食べている米もセシウムを吸っている可能性があるということがいえます。

 たしかにファイトレメディエーションは有効かもしれません。しかし数年単位の時間がかかってしまう。その数年間、食べられない米を作り続けなければならないことになります。当然、生計がかかっているのでそんな悠長なことは言っていられません。
 そこで我々はセシウムを土壌中に閉じ込めておき、作物内に吸収されないようにすることができればベストだと考えました。

 これまでの実験でトウモロコシの活性炭1)が有害なカドミウムを吸着する高い能力があることが確認されています。トウモロコシの活性炭は高い吸着力を持っているため、カドミウムと同様にセシウムを吸着し、作物内に吸収されないようにすることができるはず。ということで、今回はトウモロコシの活性炭で稲へのセシウム吸収を抑制できるのかという実験を行いました。

1)トウモロコシの活性炭:トウモロコシの芯を材料にして炭化した活性炭です

 3・11の震災に伴う原発事故の影響で、安全な農作物を安定して入手できるかという新たな課題が急浮上してきました。はたして、セシウムの吸収を抑えることができるのかどうか・・・。

 偶然なのですが、2010年、活性炭を水田に投入して稲を育てる実験に協力していただいた2軒の農家さんがありました。そこで、平成23年秋の新米について、トウモロコシの活性炭を入れた場所と入れていない場所のサンプルを入手し、それらの中に含まれるセシウム(放射能はありません)の質量(重さ)を測定しました。

 協力していただいた水田の状況は下記の通りです。

.肇Ε皀蹈灰靴粒萓炭の投入時期・量は農家A,B共に2010年5月、圃場1坪につき1リットル。
2011年はトウモロコシの活性炭の追加使用はなし。
土壌中に残ったトウモロコシの活性炭での検証です。

※注 農家Bの田圃は地震の影響で一部陥没し、それを水平に直すために土の移動を行いました。そのため、活性炭の均一性と密度が農家Aと異なっており、検査結果に微妙な違いが発生しています(活性炭の濃度の違いで抑制率に差が発生)。

※ppb・・・ 10億分のいくらであるかという割合を示す単位。パーセントの1千万分の1。

 この実験では放射性でないセシウムの量を測定しました。なお、ベクレル(放射能の量)単位での検査は検体の量の関係上、できておりません。
 この結果は「作物中の放射性でないセシウムの含有率」を表したものなので、このまま放射性セシウムの吸着率と評価することに問題はあるとしても、稲がセシウムを吸収すること、土壌中のトウモロコシの活性炭がセシウムを吸着し、稲の茎や玄米への移行を抑制する効果があることが確認されました。

 なお、先にも述べたように、農家A、B共に昨年の5月にトウモロコシの活性炭を入れただけです。土壌中に残った活性炭だけでも効果があることがこの結果から推測されます。今回の実験では100%の効果は得られませんでしたが、活性炭の投入量を増やすことでさらに吸着率を上げることができると考えられます。

 一番肝心なのが投資効果です。今回の事例ではトウモロコシの活性炭を1坪1リットルと0.5リットルの投入量で比較したところ、平均で約25%の収量アップという結果が出ています。

 米価を60kg12,000円として1ヘクタール当たりの生産量を計算すると、右のような収支シミュレーションとなります。初年度に坪1リットル、間をあけて翌々年に0.5リットル補充するとして計算しました。

※ 2年目に追加しないで3年目に半分の量を追加するのは活性炭の自然分解を考慮したためです。

 初年度は活性炭の分だけ生産コストが上がりますが、3年間の投資コストと生産高を平均すると、収量アップと安全性を含めて十分投資コストを吸収できると考えられます。むしろ安全性が確保できる分、単価がアップすることで収益に大きな期待ができるといえます。

 3年間平均すると活性炭使用の方が高い収益に!

右写真・左側の2つが活性炭使用区の稲です。右側の活性炭未使用区に比べ、根の張りが良いことがわかります。当然収量にも影響します。活性炭投入で地温が1-2度高くなる傾向も生育に効果があるようです。
詳しくは「稲作に使用した トウモロコシの活性炭」 をご覧ください

 3月11日以来、消費者は安全性に非常に敏感になっています。震災直後の情報が錯綜している状況で、多くの人が安全を求めた結果、買い控えや風評被害というものが起きてしまいました。
 情報が落ち着いてきた現在は、安全性が高い物は需要が高いため価格が上がっており、それでも消費者は安全な物を買い求めるため、高値で安定しています。つまり現在、消費者は安全性を求めており、安全・安心を買っているということになります。
 裏を返すと、安全なものは高くても売れるということ。たとえば、同じ内容量、同じ産地の3000円の普通の米と4500円のセシウム対策米が並んでいたら消費者はどちらを選ぶでしょうか。多少高くても多くの人がセシウム対策米を選ぶでしょう。ましてや今現在、農業分野ではセシウム対策はほとんどなされておらず、消費者も疑心暗鬼になっています。このような状況下で、「セシウム対策をしている」と言える事は最大の武器となるのです。

ページトップへ